大判例

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東京高等裁判所 昭和50年(う)1626号 判決

被告人 国谷正夫

〔抄 録〕

所論は、右窃盗の常習性を争うので、この点について案ずるに、「常習」とは所論のとおり反復して窃盗行為をする習癖をいうものであり、それは行為の属性ではなく、行為者の属性であって、同法第三条の常習性の認定についてはその資料につき何らの制限はないのであるから、所論のように、原判示第二の一、二の各窃盗と、原判示第二の(一)ないし(三)の窃盗前科との間に犯行の動機、態様、手段等に明白な相違がある場合には、前者について常習性を認定することができないものと制限的に解釈すべきではなく、問題とされているその行為自体について、その動機、態様、手段、反復累行の事実等のみによって常習性を認定することも可能であり、また、これと、その行為前一〇年間三回以上刑を受けた事実とを総合して、行為の常習性を認定することも可能であると解するのが相当である(最高裁判所第二小法廷昭和三三年七月一一日判決・刑集一二―一一―二五五三頁参照)。そこで、これを本件についてみると、原判決挙示の関係証拠を総合すると、原判示第二の一、二の各窃盗は、わずか一五日の間に二回にわたり、止宿先の旅館の茶の間や主人夫婦の寝室に侵入し、茶ダンスや整理ダンスの中に置いてあった現金の各一部をそれぞれ抜き取り窃取したことが認められるのであって、右各行為の手口、方法、反復累行の事実に加えて、被告人は、これまで昭和四一年九月二〇日窃盗罪により懲役一年四月に処せられて受刑したうえに、原判示第二の(一)の窃盗罪により懲役八月に、同(二)の窃盗罪により懲役二年に、同(三)の常習累犯窃盗罪により懲役三年に各処せられ、それぞれ受刑した事実が認められるから、これらを総合すると、原判示第二の一、二の各窃盗行為について被告人の窃盗の習癖の発現として、その常習性を優に認めることができるから、原判決には所論のような事実誤認又は法令適用の誤りはない。

(瀬下 金子 小林眞)

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